取り組み
更新日時:2018年5月30日

2016年度無煙映画大賞と受賞理由

無煙映画大賞作品賞   「シン・ゴジラ」 庵野秀明監督

 無煙映画大賞主演女優賞 高畑充希 「植物図鑑 運命の恋、ひろいました」 三木康一郎監督

 無煙映画大賞主演男優賞 菅田将暉 「セトウツミ」大森立嗣監督 「溺れるナイフ」山戸結希監督 

 無煙映画大賞監督賞   影山あさ子監督 「高江 森が泣いている2」    

 無煙映画大賞特別賞   「FAKE」 森達也監督

無煙映画大賞の目的

この賞は次のようなことを目的に設けられました

➀ 映画に携わる俳優及びスタッフなどすべての働く人々をタバコの能動喫煙、受動喫煙の害および残留タバコ煙の害から守ること。

➁ 映画俳優の喫煙シーンがきっかけでタバコ依存症などになった人が多いので、喫煙シーンをなくすことで当事者だけでなく観客もタバコの害から守ること。

➂ 2004年に日本も批准し、世界179以上の国や地域が批准している国際条約「タバコ規制枠組条約(FCTC)」第13条(注1)を遵守することを促します。

④ ①、②、③により、映画に関わる人々がいつまでも元気に活躍され、また映画を楽しむことができること。また、タバコのない健康な社会となることを願うものです。

 

選考に当たっては、以下のことを考慮しました。

➀ 2016年中に一般公開された日本語映画であること。ただし、原則として時代劇とアニメは除く。

➁ 作品にタバコの煙がでないこと。PP(注2)としてのタバコも登場しないこと。

➂ 誰でもが楽しめる内容であること。

④ なお、特別賞については今の世の中を反映した作品を選定しています。

(注1)FCTC第13条 タバコの広告・販売促進・スポンサーシップの制限・禁止。従来からある情報提供手段(印刷・テレビ・ラジオ)およびインターネット、携帯電話、映画を含むあらゆる形のニューテクノロジーを用いた情報提供手段による広告・宣伝の禁止。

(注2)PP(product placement) とは、映画やテレビの番組内で、広告主の商品を使い、認知やイメージを高めようとする広告手法。広告主は、商品を製作側に提供する。CMよりも商品に対する視聴者の重要度が高いという長所がある。反対に、商品の表現について製作側から制限される場合もある。製作者側も広告主も共同のキャンペーンが張れるというメリットがある。(経済ビジネス用語辞典より)

 

<受賞理由>

・作品賞 「シン・ゴジラ」 庵野秀明監督

話題性も高く、集客力もある娯楽映画でありながら、誰が見ても福島以降の日本の権力者への警鐘として説得力のある深い内容で2016年を代表する作品です。

・主演女優賞  高畑充希 「植物図鑑 運命の恋、ひろいました」 三木康一郎監督

職場では上司のパワハラまがいの言動に耐え、コンビニ頼りの生活をしていた女性が、家事全般なんでも得意で植物に詳しい青年と出会ったことで人生を自分のものにしていく主人公の姿を魅力的に演じました。

・主演男優賞  菅田将暉 「セトウツミ」大森立嗣監督 「溺れるナイフ」山戸結希監督

「セトウツミ」では、気になる女子に声もかけられない内気な高校生を大阪弁で、「溺れるナイフ」では、神主の跡取りという神がかりな役をそれぞれ絶妙に演じました。

・監督賞 影山あさ子監督 「高江 森が泣いている2」

無煙映画賞の常連監督ですが、今の沖縄を決して忘れてはいけないという意味で今年も選びました。

・特別賞  「FAKE」 森達也監督

  無煙映画賞では初めて無煙ではない映画の授賞です。理由は映画の中で監督が「禁煙宣言」をしているからです。

2016年 汚れた灰皿賞(モクモク賞) (注3)

<汚れた灰皿賞(モクモク賞)>

「ピンクとグレー」 G 行定勲監督

「TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ」 G 宮藤官九郎監督

「ぼくのおじさん」 G 山下敦弘監督

「人生の約束」 G 石橋冠監督

「俳優 亀岡拓次」 G 横浜聡子監督

「後妻業の女」 PG12 鶴橋康夫監督

 

以上を代表して、汚れた灰皿賞大賞は「ピンクとグレー」

 

*汚れた灰皿賞(モクモク賞)について

こちらの賞も毎年同じような監督が入れ替わり入っています。

タバコ会社をスポンサーとすることに何の恥も感じない、「タバコのどこが悪いの?」という昭和の発想から抜け切れていない年齢は若くても頭が古く固い監督たちでしょう。

また、「お金をもらえるなら、仕方がない。」と割り切っている監督もいるのかもしれません。少なくとも「どうしてもタバコが演出上不可欠だった。」と言えるほどの秀作は一つもありませんでした。

どの作品も結構宣伝に予算が付いていたようですが、それほど話題にもならず消えていってしまいました。

 

(注3)「汚い灰皿賞」(Dirty ashtray award)は喫煙シーンの多い映画に対して授与される不名誉な賞です。

2016年度 「日本映画とタバコ」総評 

<大物監督の作品は無煙が当たり前>

 喜ばしいことに対象作品が増え、各賞を選択することがだんだん困難になってきました。以下はどの作品も実は優劣が付けがたかった無煙の秀作です。

東陽一監督    「だれかの木琴」

君塚良一監督   「グッドモーニングショー」

大森立嗣監督   「セトウツミ」

黒沢清 監督   「クリーピー偽りの隣人」

岩井俊二 監督  「リップヴァンウィンクルの花嫁」 

阪本順治 監督  「団地」

堤幸彦 監督   「RANMARU」

本木克英 監督  「超高速 参勤交代」

水田伸生 監督  「あやしい彼女」

<少女コミック原作作品は ほとんどが無煙>

 かつて「NANA」の喫煙シーンが問題になった時代を考えると隔世の感があります。

「黒崎くんの言いなりになんてならない」

「オレンジ」

「オオカミ少女と黒王子」

「ちはやふる 上 下」

「高台家の人々」

「溺れるナイフ」

など。

 

<アニメ「君の名は。」と「この世界の片隅に」について>

 「君の名は。」と「この世界の片隅に」の2作品は、アニメなので無煙映画賞の対象ではありませんが、話題性と興行成績から2016年を語る上で外せません。そこで簡単にタバコの扱いについて触れておきます。

「君の名は。」は、タバコの面からは大変問題のある作品です。場面としては短いのですが、主人公の先輩の女性が喫煙し、なんと「(タバコを)止めていたんだけどね・・・。」と喫煙することを正当化するような言い訳を言います。彼女が手にしているのは、女性をターゲットにしたおしゃれなパッケージのタバコで、アニメですが銘柄がわかる映像です。あえて登場させたとしか考えられません。大変残念な場面でした。

 一方の「この世界の片隅に」は、時代が戦争中ということで主人公に別れを言いに来る兵士が喫煙します。このときに同席している主人公の義父に兵士がタバコを勧めますが、義父は断る仕草をします。この場面は大変現代的でいずれ訪れるであろう新しい時代を象徴しています。

 結論としては、タバコの扱いだけでなく内容的にも「この世界の片隅に」の方が2016年を代表する作品として評価したいと思います。

過去の受賞歴(作品賞)

2015年度「「ビリギャル!」(土井裕泰監督)

2014年度「魔女の宅急便」(清水崇監督)

2013年度「はじまりのみち」(原恵一監督)

2012年度「しあわせのパン」(三島有紀子監督)

2011年度「ツレがウツになりまして。」(佐々部清監督)

2010年度「アンダンテ ~稲の旋律~」(金田敬監督)

2009年度「おと・な・り」(熊澤尚人監督)

2008年度「ハンサム★スーツ」(英勉監督)

2007年度「キサラギ」(佐藤祐市監督)

(2005年、2006年は該当作品なし)

2004年度「父と暮せば」(黒木和雄監督 宮沢りえ、原田芳雄出演)

 

 

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