取り組み
更新日時:2023年5月9日

無煙映画大賞

主催:一般社団法人 日本禁煙学会 後援 タバコ問題首都圏協議会

日本禁煙学会無煙映画大賞審査委員長 見上 喜美江                  

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2022年度無煙映画大賞と受賞理由

無煙映画大賞作品賞  「土を喰らう十二ヵ月」 中江裕司監督 

無煙映画大賞俳優賞  岸井ゆきの 「ケイコ 目を澄ませて」三宅唱監督

東日本大震災追悼賞 「天間荘の三姉妹」 北村龍平監督

無煙映画大賞特別賞 「テレビで会えない芸人」 四元良隆・牧祐樹監督

無煙映画大賞ファミリー賞 「桜色の風が咲く」 松本准平監督 

無煙映画大賞アニメ映画賞 「犬王」 湯浅政明監督 

無煙映画大賞外国語映画賞  「ベイビーブローカー」 是枝裕和監督 韓国 

無煙映画大賞の目的

この賞は次のようなことを目的に設けられました

➀ 映画に携わる俳優及びスタッフなどすべての働く人々をタバコの能動喫煙、受動喫煙の害および残留タバコ煙の害から守ること。

➁ 映画俳優の喫煙シーンがきっかけでタバコ依存症などになった人が多いので、喫煙シーンをなくすことで当事者だけでなく観客もタバコの害から守ること。

➂ 2004年に日本も批准し、世界179以上の国や地域が批准している国際条約「タバコ規制枠組条約(FCTC)」第13条(注1)を遵守することを促します。

④ ①、②、③により、映画に関わる人々がいつまでも元気に活躍され、また映画を楽しむことができること。また、タバコのない健康な社会となることを願うものです。

 

選考に当たっては、以下のことを考慮しました。

➀ 2022年中に一般公開された日本語映画であること。ただし、原則として時代劇とアニメは除く。

➁ 作品にタバコの煙がでないこと。PP(注2)としてのタバコも登場しないこと。

➂ 誰でもが楽しめる内容であること。

④ なお、特別賞については今の世の中を反映した作品を選定しています。

(注1)FCTC第13条 タバコの広告・販売促進・スポンサーシップの制限・禁止。従来からある情報提供手段(印刷・テレビ・ラジオ)およびインターネット、携帯電話、映画を含むあらゆる形のニューテクノロジーを用いた情報提供手段による広告・宣伝の禁止。

(注2)PP(product placement) とは、映画やテレビの番組内で、広告主の商品を使い、認知やイメージを高めようとする広告手法。広告主は、商品を製作側に提供する。CMよりも商品に対する視聴者の重要度が高いという長所がある。反対に、商品の表現について製作側から制限される場合もある。製作者側も広告主も共同のキャンペーンが張れるというメリットがある。(経済ビジネス用語辞典より)

<受賞理由>

<作品賞> 「土を喰らう十二ヵ月」 中江裕司監督
水上勉のエッセイ集「土を喰ふ日々 わが精進十二ヶ月」を原案に監督自身のオリジナル作品として、白馬を舞台に実写映画化しました。
小説家のツトム(沢田研二)は雪を被った山脈がみえる古民家に暮らし畑を耕し山菜を取り子どもの頃育った禅宗の寺で教えられたように丁寧に精進料理を作り来客に振る舞っています。身近な人の死をきっかけに人生を問い直します。
今日一日を大切に生きよう、と思わせてくれる秀作です。


<主演俳優賞> 岸井ゆきの 「ケイコ 目を澄ませて」三宅唱監督
聴覚に障害がある元プロボクサーの自伝を映画化しました。セリフが「ううっ」と「はい」が1回で、笑顔もほとんど見せない表情で演技する困難な役を岸井が好演しました。
音楽がなく映画の形態としても独特な表現をしています。


<東日本大震災追悼賞> 「天間荘の三姉妹」 北村龍平監督
天界と地上の間にある三ツ瀬街の旅館天間荘。新たに宿泊客たまえ(のん)が到着します。彼女は実は現世で交通事故にあい臨死状態だったのです。
徐々に天間荘や三ツ瀬街の人々の謎が明らかになっていく脚本(嶋田くれ葉)がたくみで「生きるとは」「人生とは」「孤独とは」そして家族について哲学的なセリフがさりげなくかわされ観客はいつのまにか自身の問題として考え共感していきます。生きていることの素晴らしさを再確認させてくれる秀作です。 


<特別賞> 「テレビで会えない芸人」 四元良隆・牧祐樹監督 
芸人松元ヒロの姿を出身地の鹿児島テレビがドキュメンタリー映画にしました。
名作「憲法くん」はじめ現在のテレビでは忖度され決して演じられない政治ネタで笑わせながら痛烈に社会批判をしています。とともに松元自身の人間性がさまざまな場面に現れています。


<ファミリー賞>「桜色の風が咲く」 松本准平監督 
世界で初めて盲ろう者で大学の教授になった福島智さんと母親の令子さん親子の実話を基に映画化した作品です。視覚だけでなく聴覚までなくし絶望の智さんを令子さんが指点字という新たなコミュニケーションツールを編み出しそれが希望となり人生の困難を家族で乗り越える姿を描きました。


<アニメ映画賞> 「犬王」 湯浅政明監督 
古川日出男の小説「平家物語 犬王の巻」を長編ミュージカルアニメとして描きました。
南北朝から室町にかけ活躍した「犬王」と呼ばれる能楽師が主人公です。
四条河原を舞台にダイナミックな音楽と奇抜な演出、犬王の人間とは思えない舞、アニメーションだからできる表現です。
文字で残されたものしか歴史としては残らない、権力者の都合のいいものしか文字にならない。つまりは歴史にはならない、今に通じる内容でした。


<外国語映画賞> 「ベイビーブローカー」 是枝裕和監督 韓国 
「万引き家族」の是枝監督が韓国で制作し、ソン ガンホが第75回カンヌ国際映画祭で「主演男優賞」を獲得した作品です。
捨てられた赤ちゃんを売るためにオンボロ車でブローカーと母親たちが旅をするうちに何故かチームのようになっていく気持ちの変化を俳優たちの名演技が見どころです。
韓国と日本の映画人が協力して一つの作品を完成させる行為そのこと自体にも拍手です。
それにしても男の子は1000万ウォン、女の子は800万ウォンが相場ってひどいですよね。

2022年 汚れた灰皿賞(モクモク賞) (注3)

<汚れた灰皿賞(モクモク賞)>

映画内でタバコ、タバコ煙、あるいはPPによる露出が異常に多いもの。

・「マイ・ブロークン・マリコ」(タナダユキ監督 ハピネットファントムスタジオ)
・「とんび」(瀬々敬久監督 KADOKAWA)
・「宮松と山下」(関友太郎、平瀬健太郎、佐藤雅彦監督 ビターズ・エンド)

*汚れた灰皿賞(モクモク賞)について

(注3)「汚い灰皿賞」(Dirty ashtray award)は喫煙シーンの多い映画に対して授与される不名誉な賞です。

過去の受賞歴(作品賞)

2021年度「梅切らぬバカ」(和島香太郎監督)

2020年度「スパイの妻」(黒沢清監督)

2019年度「新聞記者」 (藤井道人監督)

2017年度「ミックス。」(石川淳一監督)

2016年度「シン・ゴジラ」(庵野秀明監督

2015年度「ビリギャル!」(土井裕泰監督)

2014年度「魔女の宅急便」(清水崇監督)

2013年度「はじまりのみち」(原恵一監督)

2012年度「しあわせのパン」(三島有紀子監督)

2011年度「ツレがウツになりまして。」(佐々部清監督)

2010年度「アンダンテ ~稲の旋律~」(金田敬監督)

2009年度「おと・な・り」(熊澤尚人監督)

2008年度「ハンサム★スーツ」(英勉監督)

2007年度「キサラギ」(佐藤祐市監督)

(2005年、2006年は該当作品なし)

2004年度「父と暮せば」(黒木和雄監督 宮沢りえ、原田芳雄出演)

 

過去の無煙映画大賞

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