取り組み
更新日時:2024年8月9日

無煙映画大賞

主催:一般社団法人 日本禁煙学会 後援 タバコ問題首都圏協議会

日本禁煙学会無煙映画大賞審査委員長 見上 喜美江                  

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2023年度無煙映画大賞と受賞理由

無煙映画大賞作品賞  「ミステリと言う勿れ」 松山博昭監督  東宝

無煙映画大賞俳優賞  劇団ヨーロッパ企画 「リバー、流れないでよ」・配給トリウッド

無煙映画大賞監督賞 三原光尋監督 「オレンジ・ランプ」「高野豆腐店の春」

無煙映画大賞特別賞 「No選挙、No LIFE」 前田亜紀監督 配給ナカチカピクチャーズ

無煙映画大賞アニメ映画賞 「かがみの孤城」 原恵一監督 松竹 

無煙映画大賞外国語映画賞  「ベイビーブローカー」 是枝裕和監督 韓国 

無煙映画大賞の目的

この賞は次のようなことを目的に設けられました

➀ 映画に携わる俳優及びスタッフなどすべての働く人々をタバコの能動喫煙、受動喫煙の害および残留タバコ煙の害から守ること。

➁ 映画俳優の喫煙シーンがきっかけでタバコ依存症などになった人が多いので、喫煙シーンをなくすことで当事者だけでなく観客もタバコの害から守ること。

➂ 2004年に日本も批准し、世界179以上の国や地域が批准している国際条約「タバコ規制枠組条約(FCTC)」第13条(注1)を遵守することを促します。

④ ①、②、③により、映画に関わる人々がいつまでも元気に活躍され、また映画を楽しむことができること。また、タバコのない健康な社会となることを願うものです。

 

選考に当たっては、以下のことを考慮しました。

➀ 2023年中に一般公開された日本語映画であること。ただし、原則として時代劇とアニメは除く。

➁ 作品にタバコの煙がでないこと。PP(注2)としてのタバコも登場しないこと。

➂ 誰でもが楽しめる内容であること。

④ なお、特別賞については今の世の中を反映した作品を選定しています。

(注1)FCTC第13条 タバコの広告・販売促進・スポンサーシップの制限・禁止。従来からある情報提供手段(印刷・テレビ・ラジオ)およびインターネット、携帯電話、映画を含むあらゆる形のニューテクノロジーを用いた情報提供手段による広告・宣伝の禁止。

(注2)PP(product placement) とは、映画やテレビの番組内で、広告主の商品を使い、認知やイメージを高めようとする広告手法。広告主は、商品を製作側に提供する。CMよりも商品に対する視聴者の重要度が高いという長所がある。反対に、商品の表現について製作側から制限される場合もある。製作者側も広告主も共同のキャンペーンが張れるというメリットがある。(経済ビジネス用語辞典より)

<受賞理由>

<作品賞> 「ミステリと言う勿れ」 松山博昭監督 東宝

 田村由美原作の人気漫画を実写ドラマ化の劇場版です。広島を舞台にして平和記念公園なども紹介されたことで単なる人気作品を超え社会性のある娯楽映画となりました。ジェンダーの問題を男性主人公がきっぱり指摘するセリフも秀逸です。また、原作者によるモノクロのアニメーションが印象的でした。観客動員数も高い作品が無煙映画で大変素晴らしいです。

<主演俳優賞> 劇団ヨーロッパ企画 「リバー、流れないでよ」・配給トリウッド

 京都貴船神社と旅館「ふじや」の全面協力で、ある理由で同じ2分間をなんどもくりかえす、というタイムループ作品です。芸達者な劇団員が旅館のスタッフや利用客を演じたドタバタ喜劇はイヤミのない笑いを提供してくれます。劇団のファン以外の人は名前と顔が一致しないような地味な俳優たちが一級の演技を競演しています。かつて劇団といえば「灰皿が飛ぶ」という伝説がありましたが、そんな時代は遠い過去に流れていったことを実感させてくれる無煙映画のコメディです。 

<監督賞>  三原光尋監督 「オレンジ・ランプ」「高野豆腐店の春」

「オレンジ・ランプ」 39歳で若年性アルツハイマー型認知症と診断された主人公が周囲の理解と協力の中人生を諦めずに生きる姿を描きました。

「高野豆腐店の春」 理由のある父(藤竜也)と娘(麻生久美子)がこだわりの豆腐店を営む姿を淡々と時折コメディタッチで描きました。 

<特別賞> 「No選挙、 No LIFE」 前田亜紀監督 配給ナカチカピクチャーズ

  選挙取材歴25年のフリーランスのライター畠山理仁の情熱と苦悩を追ったドキュメンタリー映画です。国政から地方選挙、時には海外まで出かけて候補者全員の取材をする、という信条を掲げ、秒単位で候補者を追う姿は感動的です。観たあとは次の選挙には投票に行きたくなり投票率アップに貢献する作品です。選ばれた政治家の皆さんには畠山さんに負けず真摯に仕事をしてほしいものです。

<アニメ映画賞> 「かがみの孤城」 原恵一監督 松竹 

 直木賞作家辻村深月のベストセラー小説を長編アニメ化しました。家に閉じ困っている主人公は部屋にあるかがみに導かれ孤城の世界に入り込みます。そこには7人の同世代の少年少女が同じような悩みに苦しんでいました。「オオカミさま」の指示で願いが叶う鍵を探すことになりますが・・・。時空を超え個性もバラバラな中学生が仲間と力を合わせて問題解決をする姿が観客にも生きる勇気を与える作品です。

<外国語映画賞> 「燃えあがる女性記者たち」 リントゥ・トーマス、スシュミトゴーシュ監督 インド 配給きろくびと 

 インドの最下層カーストの女性たちが立ち上げた新聞社「カバル ラハリヤ」の記者たちが手強い男性たちに揉まれながらもめげずに取材をしていく姿を追ったドキュメンタリー映画です。日本政府は「価値を共有する国」としてインドを捉えていますが、実はインドの一部ではヒンズー至上主義の集団が牛耳っている実情をさらけ出しています。「非暴力」の価値観はどこかへ消えてしまったのか、大きな剣をむき出しに持って出歩く男たちの姿は怖いです。映画の世界ではハリウッドに並ぶかそれ以上のインドですが、これからもいい映画が撮れるよう平和な国であり続けてほしいものです。

過去の受賞歴(作品賞)

2022年度「土を喰らう十二ヵ月」 (中江裕司監督)

2021年度「梅切らぬバカ」(和島香太郎監督)

2020年度「スパイの妻」(黒沢清監督)

2019年度「新聞記者」 (藤井道人監督)

2017年度「ミックス。」(石川淳一監督)

2016年度「シン・ゴジラ」(庵野秀明監督

2015年度「ビリギャル!」(土井裕泰監督)

2014年度「魔女の宅急便」(清水崇監督)

2013年度「はじまりのみち」(原恵一監督)

2012年度「しあわせのパン」(三島有紀子監督)

2011年度「ツレがウツになりまして。」(佐々部清監督)

2010年度「アンダンテ ~稲の旋律~」(金田敬監督)

2009年度「おと・な・り」(熊澤尚人監督)

2008年度「ハンサム★スーツ」(英勉監督)

2007年度「キサラギ」(佐藤祐市監督)

(2005年、2006年は該当作品なし)

2004年度「父と暮せば」(黒木和雄監督 宮沢りえ、原田芳雄出演)

 

過去の無煙映画大賞

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